投稿日:2025年10月15日

スティーブ・リーチ氏、津軽海峡遠泳に成功(2025年6月20日)


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2025年6月20日、スティーブ・リーチさんが津軽海峡遠泳に成功いたしました!

遠泳実施日:2025年6月20日

年齢:51歳

国籍:アメリカ(スコットランド出身)

居住国:アメリカ

水泳時間:10時間4分

遠泳開始時間:03時55分

遠泳終了時間:13時59分

水泳距離:約36km

泳法:フリースタイル

水温:14.6℃ – 19.2℃

気温:20.2℃ – 25.4℃

湿度:65% – 81%

波の高さ:0.5m

風速:0m – 2.0m

ピッチ(1分):53 – 57

視界:0.5 – 5海里

写真提供:Herschel Zahnd
写真提供:Herschel Zahnd
写真提供:Herschel Zahnd


スイマーのコメント

津軽海峡遠泳は、2年間にわたる計画、祈り、そして忍耐の集大成でした。
すべては、同じスコットランド出身で「オーシャンズセブン」を達成したアンディ・ドナルドソンに送った1通のメールから始まりました。彼が日本で20年間遠泳のオブザーバーを務めている石井さんに私をつないでくれたのです。行政上の変更や今後の横断が不確実な状況にもかかわらず、神様がすべての扉を開いてくださり、私は2025年6月の潮に合わせた遠泳に参加できることになりました。

日本に到着してからは、すべてが驚くほどスムーズに進みました。

チームのメンバーであるケリー、マロリー、ハーシェル、マヤと共に、中泊町の皆さんやNHKの取材チームから温かく迎えていただきました(NHKは全行程を撮影してくださいました)。ケリーの完璧な準備のおかげで、私は自分の使命に集中することができました。私の使命は、「ライジング・タイド・ミニストリー」(注1)のために泳ぎ、依存症や回復の過程にある人々に希望と気づきを届けることでした。

6月20日午前4時、同じく「オーシャンズセブン」達成を目指すエドアルドと並んで、私は暗く冷たい津軽海峡の海に飛び込みました。最初の数時間は穏やかな水面と優しい夜明けの光に包まれ、神が共におられることを深く感じながら泳ぎ進みました。

6時間を過ぎた頃、何かに見られているような不穏な気配を水中で感じましたが、祈りと集中でその感覚を乗り越えました。

終盤に差しかかると、濃い霧が立ちこめ、視界はほとんどゼロに。潮流に流され、進路を見失いました。そこから約3時間、私は凍えるような冷たさと極度の疲労の中、ほとんど何も見えない状態で泳ぎ続けました。そんなとき、カヤックに乗ったハーシェルが現れ、私を岸まで導いてくれました。脚の感覚がなくなるほどの冷たさの中、胸いっぱいの感謝と共に、私はついに北海道の地に立ちました。
記録は10時間4分。

この遠泳は、単なる持久の挑戦ではなく、ひとつの「礼拝」でした。
ストロークひとつひとつが、今も苦しみの中にいる人たちのための祈りであり、「希望は必ず浮かび上がる」という宣言、そして「神は今も救ってくださる」という証しだったのです。

(注1)ライジング・タイド・ミニストリー・・・薬物やアルコール依存などからの更生を目的とした団体


オブザーバーのコメント

打合せの際には、ご家族の仲の良さが印象的でした。スイマーの方は少し緊張している様子もありましたが、出港時にはやる気に満ちた表情で臨んでいました。今年度、初の遠泳であり、さらにNHKの取材クルーも同乗していたことから、船上には緊張感が漂っていました。

遠泳実施中の海は終始穏やかで、おおむね天候にも恵まれました。前半は順調に進み、このまま簡単に完泳できるのではと思いましたが、折り返しを過ぎたあたりから濃い霧に包まれました。さらに、後半の潮の流れが強い難所ではなかなか前に進まず、不安を感じる場面もありました。それでもスイマーは終始落ち着いた泳ぎを見せ、チームの励ましに元気に応えていました。そして最後まで諦めずに泳ぎ切り、完泳した瞬間はとても感動的でした。

完泳後のスイマーは寒さで体を震わせていましたが、スイムチームの手厚いサポートにより、帰港時には元気を取り戻していました。

個人的には船酔いを心配していましたが、津軽海峡の雄大な景色を楽しみながらオブザーバーとしての任務を果たすことができ、貴重な経験となりました。来年度もまた、新たな挑戦を見届けたいと思える素晴らしい機会をいただき、ありがとうございました。     

オブザーバー:菅原 光徳