投稿日:2025年10月29日

ベンギ・アヴチ氏、津軽海峡遠泳に成功(2025年8月4日)


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2025年8月4日、ベンギ・アヴチさんが津軽海峡遠泳に成功し、トルコ人として初のオーシャンズセブン達成泳者の称号を手にしました!

遠泳実施日:2025年8月4日

年齢:29歳

国籍:トルコ

居住国:トルコ

水泳時間:14時間29分

遠泳開始時間:04時29分

遠泳終了時間:18時58分

水泳距離:約51km

泳法:フリースタイル

水温:23.0℃ – 28.5℃

気温:24.9℃ – 35.4℃

湿度:56% – 87%

波の高さ:0m – 1.0m

風速:0m – 2.3m

ピッチ(1分あたり):60 – 76
視界:10.8海里


撮影:渡辺竜平
撮影:渡辺竜平


スイマーのコメント

私は、北アイルランドからスコットランドへ渡るノース海峡の遠泳を終えた直後、私のチームのアスリ・ヴラル(理学療法士)、セレン・アクンジュ、タカコ・カミシマさんとフォトグラファーのリョウヘイさん、そして津軽海峡完泳を目指す同志のポール・レオナードとそのコーチのニルス、マヤと共に、小泊へ到着しました。日本は気候も人々もとても温かい国だと感じました。まず東京に到着し、そこから皆で車を借りて移動しました。

中泊町に到着した日から、皆さんが本当に温かく迎えてくださいました。到着した日は、ロシアで起きた大地震の影響で津波警報が出ていたため、まだ泳ぐことができず、町を散策することにしました。龍飛崎展望台へ行くと、山の上からでも海峡の強い潮流がはっきり見え、北海道は霧の向こうに遠く感じられました。

ポールのチームと私達のチームの宿泊先は異なっていて、私たちは津軽小泊館に滞在しました。マヤがマリーナ近くのレストランで朝食と夕食を手配してくれ、どの料理も本当に美味しかったです。私は特にお刺身が大好きで、毎回、大きなお皿にさまざまな料理、ご飯、お味噌汁、麺、海藻、たくさんのお刺身、そしてデザートまでついてきて、大満足の食事でした!話は少し変わりますが、町で毎朝と夕方に流れる音楽が忘れられません。

テレビでは数時間ごとに海面の様子が映し出され、遠泳に挑戦できないのではないかと少し不安もありました。しかし、最終的に、危険な状況ではなくなったと発表があり安心しました。

事前打合せでは、関係者の皆さんともお会いすることができ、とても分かりやすく有意義なものでした。どの海峡でも同じような打合せが行われたらいいのにと感じました。連盟の皆さんから遠泳に関する説明を受け、私たちは8月4日の夜明けにスタートしました。

当日は美しい朝で、水温も思ったより温かかったです。序盤の2時間は、時速3.5kmほどのペースを保つつもりでした。私は比較的速いスイマーですが、序盤で飛ばし過ぎないよう気を付けました。

ところが2〜3時間経った頃、クルーから「ペースを上げて」と言われ、「よし!ここからだ!」と思いました。潮流が強くなっていて、その後はゴールまでほとんど状況が変わりませんでした。強い潮流は長く続かないだろうと考えて全力で泳ぎましたが、それでも思うようには前に進めませんでした。補給は素早く済ませ、補給中も水中で足を動かし続けましたが、時速2.5kmしか進めなかったのです。

11時間経ったと聞かされ、北海道がとても遠く感じられ、心が折れそうになりました。セレンが「50分間、同じ場所にいるの。もっと頑張らないと完泳できないかもしれない」と言いました。いくら頑張ってもその場に留まるだけで、潮に流されてしまう可能性もありました。私は「どうか私を船に引き上げないで!絶対に完泳するから」と船長に伝えるようクルーに頼みました。

そこから再び力を振り絞り、ボートとの位置を何度か調整し、ついに潮流を突破することができました。その時、速度は時速5.2kmに上がっていました。もうヘトヘトでしたが、やっと努力が実ったのです。

北海道の海岸が見えてきた時、クルー全員、そしてオブザーバーの方まで「がんばれ!」と声援をくれました。夕日が沈む直前、ついにゴール。やり遂げました。オーシャンズセブンを完泳した初のトルコ人になりました。

中泊町の皆さん、漁師さん、食堂でお世話になった方々、そして友人ポールのチームが祝福に駆けつけてくれ、「Tebrikler(トルコ語でおめでとう) – オーシャンズセブン」の文字とトルコ国旗が掲げられていました。こんなにも喜びに満ちた海峡横断の完泳は初めてでした。

中泊町の皆さん、津軽海峡遠泳関係者の皆さん、ユカさん、船長の皆様、石井さん、本当にありがとうございました。

私たちは中泊のことを忘れません。またぜひ、他のスイマーと共に戻って来たいと思います。


撮影:渡辺竜平


オブザーバーのコメント

打合せの際、アヴチさんは終始笑顔で、自国のお菓子を振る舞うなど、非常にリラックスしたご様子でした。
実施当日の出港時には、アヴチさんとサポートチームの皆さんとの強い一体感が感じられ、「このチームならきっと完泳できる」という期待が高まりました。
遠泳中は、時折波が荒くなり、完泳できるか不安になる瞬間もありましたが、アヴチさんの力強い泳ぎと揺るぎない意志に深く心を打たれました。
そして、14時間29分に及ぶ挑戦を終えた後も元気な姿にはとても驚きました。

今回、初めてオブザーバーとして乗船し、長時間の船旅による船酔いを心配していましたが、酔い止め薬の効果もあり体調も良く、無事に任務を終えることができ安心しています。
完泳の瞬間はまるで自分のことのように感動し、乗船メンバーの一員としてサポートできたことを心から光栄に感じました。
アヴチさん、津軽海峡完泳とオーシャンズセブン制覇、本当におめでとうございます。

オブザーバー:宮越 敏宜

撮影:渡辺竜平